半月板損傷後の運動療法はどのように行えばいいか?
半月板損傷、前十字靭帯損傷などのスポーツによる外傷・障害から膝の故障を治し復帰するためにはリハビリテーションが不可欠です。
膝関節の受傷後のリハについて書いていきます。
ここで取り上げているエクササイズは、受傷部位によっては悪化の原因になることもあります。
身体の声に耳を傾けて、痛いのに無理にやるということは絶対に行わないでください。
また、実施にあたっては自己責任でお願いいたします。
受傷直後
受傷直後は、患部に炎症が起こり安静にしていても痛みがでている状態になります。
このような状態でも、患部以外のコンディショニングは可能ですから、肩甲骨周囲など上半身のストレッチやトレーニングは続けていたほうがよいでしょう。
股関節や足首の筋肉をセルフケアすることも、患部に痛みが増えないようでしたら行っていった方がよいです。
患部以外の可動性を保つことは、膝の負担を減らすことになりますので治りを早くすることにつながります。その後、だんだん安静痛が治まってきて、初期よりだいぶ腫れも引いてきます。
しかしまだ関節の可動域制限があり、膝は完全にまげることができない状態で安静時も膝が軽く曲がった状態で、固まったようになっていることが多いです。
この状態では、ほっておくと関節が固まってしまうからと、無理に関節の可動域を改善することは更なる炎症を招くこともあり、あまりおススメできません。
膝の関節可動域が制限されているのは、膝が治るための過程で起こっていることなので、ある治癒段階にすすめば、自然に関節の可動域は回復します。
しかし、長期にわたって、関節可動域が制限されていた場合、関節周囲の筋膜や関節内の変性が起こり、完全には回復しないこともあります。
管理人の経験では7,8年間、膝屈曲90°までしか曲がらなかった膝関節が、完全屈曲に近い踵がお尻につく状態にまで回復したケースがありましたので、数週間の関節可動域制限で膝関節が曲がらなくなるということは、大きな事故後でなければないと考えます。
受傷後1~2週目のエクササイズ
治り方には個人差があり単純に期間で区切ることはできませんが、操体法的に考えると「身体が気持ちよくなること」は行っていくと自然治癒力の働きもよくなるので、自分の身体に聴きながらストレッチやトレーニングの種目を選択してください。
胸のストレッチ
壁に手をついて、胸を広げるストレッチです。親指を上にして、肩甲骨を後ろに寄せるようにして行います。
背中のストレッチ
写真では、膝をついていますが、テーブルなど高さがあるものを利用すれば、膝を伸ばしたままでもできます。
片手をついて、、背伸びをするように腕を頭上に伸ばします。
すこし脇腹も伸ばすようにするとより伸び感がでてきます。
ハムストリングス・股関節伸筋のストレッチ
片脚を安定した台の上において、股関節を曲げます。
腰だけを丸めてしまっているケースがありますが、それでは股関節周囲の筋肉のストレッチになりませんのでお尻を後ろに突き出すように上体を前に傾けてください。
足首のストレッチ
壁や階段などの段差を利用して、ふくらはぎの筋肉を伸ばしましょう。
膝の受傷により、膝周囲が腫れて、さらに膝から下の下腿全体がむくんだ状態になります。足首のストレッチは、そのむくんだ状態を軽くする効果があります。
ストレッチを行って、身体が軽く感じるようでしたら積極的に行ってください。まれに、痛みが増えるときもありますが、そのときは中止してください。
体幹部のトレーニング
つま先と肘で、身体を支えます。
お腹を引き上げるように、しめて姿勢保持を2~3分間行います。
足をつくと痛い場合は、受傷側の足は浮かせて行います。
バランスボールを用いると少し運動強度があがります。
仰向けで足をバランスボールに乗せて身体を浮かします。膝は伸ばしていてもよいです。
可能であれば、膝の曲げ伸ばしもします。
タオルギャザー
ターゲットになる筋肉によって、気をつける点が異なりますがここでは、大まかに足指を使って機能を維持する目的でもよいと考えます。
足の機能を維持することでその後の片脚立ちでのバランストレーニングなどへの移行をスムーズにするために行います。
患部以外の機能低下を防ぐために、痛みがなく可能なことは通常通り行っていくスタンスで取り組むとよいと考えます。
半月板損傷や靭帯の断裂後は、膝周囲の筋肉の萎縮が起こっています。膝の痛みのない範囲で筋力強化を始めることが大切です。
受傷後3~4週目のエクササイズ
レジスタンストレーニング(自体重やウエイトを持ったいわゆる筋トレ)を少しずつ導入していきます。
自体重で20回以上の反復が膝の痛みの悪化なく可能であれば、ダンベルなどで荷重を増やしていきます。あげる目安は5~10kgアップぐらいが無難です。
反復回数×セット数と休息時間などのエクササイズの変数は、個人差が大きいので、ここでは大まかな目安を提示します。
「8~12RM×3~5セット 休 1分間」という強度が、筋肥大に効率的であることが、様々な研究で明らかにされていますので、だいたいの目安として覚えておくとよいと思います。
RMとは「repertition maximum」の略で可能な最大反復回数のことです。例えば、10RMは10回はできるが、11回はできない負荷を用いることを意味します。
通常のレジスタンストレーニングは、コントロールされた弾みを使わない動作で行いますが、後半にある瞬発系のトレーニングは、逆に弾みをつけて瞬発的に動作します。
日常動作やスポーツ動作はほとんどが反動を使った動作になりますので、委縮した筋力を完全に回復するためには、弾みをつけた動作に適応できるように作っていくことが大切です。
両足でのスクワット
肩幅に足を開いて、つま先を正面に平行に向けてスクワットします。
股関節を良く曲げて、膝は曲がる範囲で行いましょう。
受傷側に徐々に体重負荷をかけていきます。
股関節周囲や大腿部の膝関節の安定にかかわる筋肉のトレーニングになります。バーベルを用いて、ウエイトをかけていくことで強度があがります。
受傷後なので、自体重の1/2ぐらいからスタートするとよいです。
片脚立ちバランス
片脚で立っても膝に痛みがないようであれば、片脚でのバランスをトレーニングします。
足部や股関節周囲の筋肉の協調的な適切なタイミングでの活動により膝関節への余分な動揺が制限され、安定化を図ることができます。
このエクササイズは、バランスディスクなどをもちいることで強度があがります。
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片脚スクワット
片脚立ちがほぼ問題なくできるようでしたら、片脚スクワットに移行します。
膝の曲がり角度は、膝の痛みと相談して無理をしないで行いましょう。
股関節をしっかり曲げることが大切です。
床にのばした側の手にダンベルを持つことで強度が上がります。
5kg~10kgぐらいからスタートするとよいと思います。
もちろん個人差がありますので、10回ぐらいは安定してできるウエイトが適切です。
その場ジャンプとプッシュプレス
瞬発力と衝撃吸収能力の回復が目的となるもので、通常のレジスタンストレーニングがコントロールされた弾みを使わない動作であるのに対し、弾みをつけて高速で動きます。
着地時に適切なスクワット姿勢になっていることが非常に重要です。
ウエイトなしで慣れてきたら、両手にダンベルを肩上に構えてジャンプとともに突き上げるプッシュプレスに移行します。ここでも着地姿勢がきちんとできているかが重要です。
両手で10kgぐらいからスタートするとよいと考えます。
筋肥大のトレーニングではなく、瞬発的な筋力と衝撃吸収能力のトレーニングになりますので、反復回数は、5~7回ぐらいで疲労が見えた辺りで休息とするようにしましょう。
いずれのエクササイズも、見よう見まねで自分ひとりで行うと自分の悪い癖などが確認できませんので、はじめての場合は専門家の指導を仰ぐことが必要です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◆ 横須賀整体スタジオ
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コメント
素晴らしいです。ありがとうございます!
コメントありがとうございます‼️
お役に立てば幸いです!!