この記事は一般の方にはやや難しい内容となりますが、膝の痛みを自分で治すには知っておいた方が良い知識なので、どうぞお付き合いください。
膝関節の解剖学
膝関節には、膝蓋骨と大腿骨の関節である膝蓋‐大腿関節」と大腿骨と脛骨の関節である「大腿‐脛骨関節」の二つの関節があります。
膝蓋‐大腿関節は、大腿骨上の滑車部と呼ばれるレールと膝蓋骨の関節で、大腿‐脛骨関節は、大腿骨の内・外側顆と脛骨の内・外側顆の関節です。
膝関節の運動方向
屈曲‐伸展
膝関節の主な関節運動は、曲げ伸ばしで、専門的には「屈曲―伸展(くっきょく―しんてん)」になり、この関節運動は大腿脛骨関節と膝蓋大腿関節で起こります。
一般的に健康な膝関節は最大屈曲130~140°、過伸展5~10°の可動域を持ちます。
内旋‐外旋
膝関節は曲げ伸ばしだけでなく、僅かに内旋・外旋というひねる動きもできるようになっています。膝関節の内・外旋は大腿脛骨関節で起こります。
膝関節の回旋運動の角度は、屈曲角度の増加とともに増えて、膝関節90°屈曲位では、内外旋運動は40~50°ぐらいの可動域をもちます。
膝関節の自動回旋運動とスクリューホームムーブメント
伸展時には外旋、屈曲時には内旋が組み合わせの運動として、自動で起こるようになっています。この自動的な回旋運動は、3つのメカニズムにより起こっています。
1.大腿骨の長さの違い―外側顆が長い。
2.脛骨の関節面の形状―内側顆が凹面、外側顆が凸面。
3.側副靭帯の方向―内側が速く伸張される。
さらに膝関節の伸展最終域では「終末伸展(強制)回旋運動」(screw・home・movement スクリューホームムーブメント)という運動が正常な膝では起こり、約10°の外旋により膝関節はロッキングされます。
下腿外旋症候群の場合、膝を屈曲したときの内旋運動が制限されている状態となり、関節内外の組織に異常なストレスをかけていると考えられます。
この場合、関節の調整により、膝関節の内旋運動をつくり、さらに自動回旋運動を考慮したスクワットエクササイズを行うことで、自然な関節運動を定着させることが必要になります。
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膝関節の屈曲伸展時の滑り転がり運動‐関節包内運動
最大伸展位(膝をピンッと伸ばした状態)から屈曲(曲げる)していくと、脛骨上で大腿骨は、滑り転がり運動によりスムーズに曲がることができます。
最大伸展位から曲げると最初に転がりが起こり、その後、滑りが加わり、最終域近くでは滑りのみが起こります。
このように見ていくと一般の方には少し難しく感じると思いますが、膝関節がただの蝶番(ちょうつがい)のような回転軸が固定された構造ではなく、結構、複雑な運動を何気なくやっているんだなあーということをイメージしていただけたら良いと思います。
膝が曲げにくいときや伸ばしにくいときには、膝関節の関節包内運動が制限されている状態と考えられます。転がり滑り運動の内、滑り運動のほうが制限されていることが多く、滑り運動を促す施術により可動域が広がることがよくあります。
膝蓋骨の動き
膝蓋骨は膝の屈伸運動に伴い、大腿骨の滑車部(レール)上を滑ります。この滑り運動に必要な条件として、3つの要素が考えられます。
1.大腿四頭筋の伸張性
2.関節包の柔軟性
3.膝蓋大腿関節の滑走性
関節包とは、関節を包む袋状の組織で、内部は関節液で満たされていて、膝関節の屈曲伸展に伴い、形を変化させます。関節包は長期間、固定された場合、癒着が形成されて可動域制限が起こります。
膝の曲がりにくさや伸ばしにくさは、膝蓋大腿関節の滑り運動の低下によるかもしれません。この場合、膝蓋骨をつかんで滑り運動を促すことで、改善することができます。
★ 膝蓋骨の調整の記事
いますぐ簡単にできる膝が軽くなる方法 膝のお皿のクニクニ体操?
まとめ
このような解剖学や関節運動学などを学んでいくと、膝の曲げにくさ、伸ばしにくさといった違和感がどのような問題で起こっているのか、そして、それを改善するにはどのようなアプローチをすればよいのかが見えてきます。
しかし、膝の痛みが膝関節のみの問題ではないことも多く、根本的な解決には、やはり、全身のバランスを調和させること、精神面からの要素も考慮にいれることが、膝の痛みを早期に改善するためには重要であると考えます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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今回の記事の参考文献
カパンジー機能解剖学Ⅱ下肢
A.I.Kapandji (著), 塩田 悦仁 (翻訳)
内容紹介(アマゾンの紹介文より引用)
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